コラム
小さな会社の経営者様にむけて
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そんなお話をご紹介します。
IT資産の棚卸し
2022.1.12
こんにちは。神奈川でIT相談ならホットソウルにお任せください!小さな会社のためのデジタル戦略室、株式会社ホットソウル代表・若杉です。
製造業や小売業などで行われる棚卸しの作業は、正確な利益を計算するためや、余計な在庫は抱えず販売の機会を損なわないなどのため、経営上重要な作業になります。
さて、ITに苦手意識のある経営者様の中には、社内でお使いのPC等のIT資産について、どこに・何が・どれだけあるのかを正確には把握されていない、という方も少なくないのではないでしょうか?
今回のコラムでは、そのような経営者様に向けて、私なりのIT資産棚卸し方法をご紹介しようと思います。
IT資産とは
本コラムにおける『IT資産』とは、貴社でお使いの以下のようなものを想定しています。
・インターネットに接続するための回線契約、プロバイダー契約
・回線終端装置、ルーター、UTM装置等のネットワーク機器
・PC、サーバー、およびディスプレイ、マウス、キーボード等の周辺機器
・NAS等の外部記憶装置
・プリンターやスキャナ、複合機
・WindowsやiOSなどコンピュータを動かす基本ソフト(OS)
・ウイルス対策ソフトなどのインストールされているアプリケーション
・利用中のクラウドサービスやレンタルサーバー等
・これらに付随するライセンスや保守サポートなどの各種契約
IT資産棚卸しの重要性
IT資産の棚卸しは、以下の3つの観点で経営上重要な作業です。
①固定資産を有効活用して収益力を高める
②情報セキュリティ上の守りを固める
③大規模災害等に備え、事業の継続性を高める
①の目的の為には、少なくとも有償で取得したIT資産は全て把握することが望ましいです。
②の目的の為には、有償無償を問わず、全IT資産を把握することが望ましいです。
③の目的の為には、各IT資産の使われ方も把握することが重要です。
これまでに取得したIT資産を改めて一覧化してみると、現状ほとんど使っていないものがあることに気が付く、といった事例もあります。
そういった遊休資産の有効活用や、場合によっては売却なども視野に入れて整理することで、電気代やライセンス費用などの節約にもつながり、ムダな支出も抑えることができます。
また、情報セキュリティの観点からは、不要な機器やアプリケーションを除去しておくことで、セキュリティ上の穴を減らし守りを固める効果が期待できます。
大規模災害等の非常時にどのように事業を継続させるかということについては、IT資産だけから考えられるものではありませんが、貴社事業が依存するITインフラ(IT資産)を正確に把握しておくことは、最低限必要なことです。
具体的な進め方
前項でIT資産棚卸しの重要性についてはご理解頂けたかと思います。
次に具体的な進め方についてお話します。
実は、やることは次の2つしかありません。
①IT資産に関する、契約書、納品書、請求書、マニュアルなど証憑類を全て集め、1つずつ確認していく。
②現場に配置されている実物を、1つずつ確認していく。
構成管理ツールやIT資産管理ツールといったIT資産を一元管理できるツールを既に導入していない限り、根気よく1つ1つ確認していくしか方法はありません。
期待外れでしたでしょうか?!
地図を用意して進む
どこに何があるかわからない世界で、よくわからない何かを、一つ残らず集めてまわる。
ITが苦手の方にとって、IT資産を根気よく1つ1つ確認していくという作業は、そんな風にとらえどころがなく、終わりの見えない作業のように感じてしまうかもしれません。
また、私のようにある程度慣れている人間にとっても、行き当たりばったりで確認を進めるのは効率的ではありませんし、見落としも起こりやすくなります。
そこで冒険に出かける前には、およその当たりをつける ための“地図”を用意します。
IT資産棚卸しマップ
こちらが、私なりのIT資産棚卸しに使う“地図”になります。
縦軸を『モノ・サービス』と『契約』で分類、横軸を『社内業務基盤』と『サービス提供基盤』に分類し、探索する世界を4つの領域に分けています。
『サービス提供基盤』という分類は分かりにくいかもしれませんが、典型的には会社のホームページを公開するためのレンタルサーバーが該当します。
レンタルサーバーの場合、その中の細かい仕組みまで意識する必要はないと思いますので、少々細かく描きすぎなのです が、“地図”としての縮尺を『社内業務基盤』と合わせるため、このような図にしています。
また企業様によっては、Webサーバー、メールサーバー等々の仕組みを自前で保有・管理されている場合もあるかもしれません。
さらに近年では、自社保有のサーバー等であっても、AWSに代表されるようなクラウドベースのサービスを活用する場合も多くなっています。
まとめ
IT資産の構成を大きなくくりで捉えると、大企業も中小企業も個人宅もあまり変わりはなく、似たような構造になります。
ですので、どのような現場であってもこの“地図”を意識していれば、あまり迷うことなく棚卸し作業を進めることができます。よろしければご活用くださいませ。
本コラムをご覧になって、IT資産棚卸しに挑戦してみよう!と思って頂けると、とてもうれしいです。
この記事を書いた人
若杉 廣
株式会社ホットソウル代表取締役
やさしいDX推進協議会主宰
神奈川県中小企業診断協会会員・中小企業診断士
趣味はブラジリアン柔術、手抜き家庭菜園、ご近所直売所めぐり。