コラム
小さな会社の経営者様にむけて
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そんなお話をご紹介します。
「お客さま満足」について思うこと
2022.6.26
みなさん、こんにちは。
現場現物主義がモットー、泉経営パートナー・代表の和泉田 宏(いずみた ひろし)です。
今回は、私の体験を通じて感じた「お客さま満足」についてお話します。
テーマパークのつまようじ
今から25年以上前の話です。
私は妻と二人で皆さん誰もがご存知の某テーマパークに行きました。それまでに何度か行ったことがあるので、特段強い思い入れもなく、ごく普通にアトラクションを楽しんでいました。
昼食の時間になり、どこのレストランに入ろうか物色していたところ、それまで入ったことのない日本食レストランがたまたま目に留まり、入ることにしました。
そして、席に通された時にテーブル上の備品に目がいきました。つまようじが1本ずつ紙で個装され、その袋にテーマパークのロゴが印刷されていたのです。
土産物のお店に並んでいる様々なグッズには当然ロゴが入っていますが、つまようじは初めてだったので、こんなところまでロゴを印刷しているんだね、と妻と感心していました。
会計に向かおうとした時、このつまようじが記念の1つになると思い立ち、スタッフの方に「このつまようじですが、記念に何本かいただいてもよろしいでしょうか?」と尋ねました。すると「少々お待ちください。」といって裏に引っ込んでしまいました。私たちは、おそらく上司に確認しに行ったのだろうと考えていました。
ほどなくスタッフの方が戻ってきたのですが、私たちはとても驚きました。なんと、輪ゴムで括られた20本(あとで数えました)のつまようじを持って来たのです!
スタッフの方は、「お待たせいたしました。これで足りますか?」といって私に手渡そうとしました。私たちは2、3本もらえればいいと思っていたところ、その10倍のつまようじを束で持ってきたため、「いや2,3本でいいんですけど」と慌てて返答しました。
するとスタッフの方は、「本日このお店に来ていただいたお礼です。どうぞお持ち帰りください。」と笑顔で応えてくれたのです。
この日の出来事は、非常に思い出深いものになりました。後日、自宅に友人を招いて食事をする機会が何度かあったのですが、食事後にこのエピソードも添えてつまようじを渡すと、みなさん大変驚かれるとともに喜んで持ち帰ってくれていました。
旅館での出来事
私は神奈川県民になって約12年になりますが、以前は福岡に6年間住んでいました。
転勤住まいのため、そんなに長く住むことはないだろうと考え、休日の際には九州各地を旅行しました。
特に温泉が好きなので、全国的に有名なところはもちろん、穴場・秘境の温泉地も含めて50か所以上お邪魔しています。
九州の温泉は非常にバラエティに富んでおり、よく見かける無色透明のものに加え、白濁、炭酸泉、砂蒸しなどがあります。また、旅館で提供される様々な料理も温泉旅行の楽しみの1つです。
そのような温泉巡りの中で、熊本県内のとある温泉地の宿に宿泊しました。
この温泉地は地域全体で非常に趣があり、九州圏内はもとより、全国からも利用客が訪れています。
旅館到着後、温泉にゆっくりとつかり、待ちに待った夕食の時間になりました。順次運ばれてくる料理はどれも美味しく、非常に満足のいくものでした。
仲居さんに「どの料理もすごく美味しいですね」と話したところ、「そうですか、それは良かったです。(そのあと少し間が空いて)私は食べたことは無いんですけどね...」との返事があり、この言葉に大変驚きました。
と言うのも、1ヶ月ほど前に佐賀県のこれまた有名な温泉地の旅館に宿泊したのですが、その時の仲居さんの言葉とあまりにも違っていたのです。
仲居さんからは「ありがとうございます。料理を作るのは板長の仕事ですが、料理をお出しするのは私たち仲居の仕事です。新しい料理を出す前に私たちは必ず試食をしていますし、必要であれば調理場で調理しているところも見ていますよ。」との返事が返ってきました。
どちらも、全国的に有名な温泉地の旅館なのに、ここまで違うのかというのが率直な感想でした。
テレビの旅番組等の中で、女将さんや仲居さんがお客さま向けの料理を試食している場面を何度か見ていたこともあり、仲居さんは料理の味見をしているだろうと勝手に思い込んでいました。
ましてや、全国的に有名な温泉地にある旅館であれば、さらに深いところまで話をしてくれるのではないかと思っていたので、熊本の温泉旅館での仲居さんの言葉を聞いた時のがっかり感は今でも強く残っています。
お客さま満足とは?
テーマパークのつまようじと旅館での出来事についてお話をしました。
前者はお客様満足度が高く、後者は低かったということです。
この違いは、“事前期待を上回るかどうか”だと思います。
具体的には、前者のテーマパークは、サービスが良いのが当たり前、しかしそれを上回るサービスを提供してくれたので感動が生まれています。
一方、後者の熊本県の旅館は、知名度からすればこれぐらいのことはしてくれるだろうと期待していたのに、残念ながらそれを下回る対応となり、がっかり感につなが ったと言えます。
では、お役様満足度を高めるには事前期待が低い方がいいのか?と言うと決してそうではありません。
事前期待が低いと、そもそもお客様からは声がかからない・選んでくれないという本末転倒の状況になります。
お客さまの事前期待を少しでも超える仕事を着実に積み重ねることで信頼感を高め、次の仕事(リピート)につながるよう、日々の仕事を進めていきたいものです。
この記事を書いた人
和泉田 宏
泉経営パートナー代表
神奈川県中小企業診断協会会員・中小企業診断士
横浜市を拠点に経営戦略、経営計画、経営管理、組織管理、
労務管理などの支援を行っている。
現場現物主義がモットー。