ホットワイン

日本ではあまり見かけない飲み物だが、赤ワインにオレンジピールやシナモンなどの香辛料と砂糖や蜂蜜などの甘味を加えて温めたもの。

カップドイツ、オーストリアなどヨーロッパの寒い国で好まれる。「ホットワイン」は和製英語で、ドイツ語では「グリュー・ヴァイン」と呼ぶ。「グリュー」には「灼熱」という意味があり、こちらの方が「ホット」よりはふさわしいと思う。カップを口元まで持ってくるとアルコールが鼻を刺激するので、感覚的には「玉子酒」を飲むときに近い。が、アルコール度が高く、味はもっと複雑だ。美味しいかと問われれば、正直なところ「No」だ。甘くて、強くて、とてもカップ一杯は飲みきれない。この酒を愛するには、馴れが必要だ。

地元の人にはクリスマス・シーズン到来を告げるうれしい酒であるらしい。12月になるとヨーロッパでは街の広場にクリスマス・マーケットが立つ。そうした市に「グリュー・ヴァイン」の屋台もでる。そこでソーセージや焼き栗などをつまみに「グリュー・ヴァイン」を飲み、家族や友人と談笑する。買物はクリスマスを迎える準備なのだが、日本人がアメ横に正月用品を買いにいくのとはずいぶん違う。華やかなイルミネーションを楽しみ、店をぶらぶらと眺め、飲みかつ食べる。余裕のある楽しみ方は、国民性の違いだろう。

「グリュー・ヴァイン」用に毎年デザインを変えて特製のカップを焼く街もあり、カップ代も含めて支払えば持ち帰ることができる。写真はハイデルベルクで2007年に作られたカップだ。ワインは飲みほすのに苦労したが、カップは旅行の良い記念になった。

(M)